Evidence-Based Practice of Critical Care 28章〜29章
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神戸市立医療センター中央市民病院 集中治療部
on Aug 10, 2012
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通読勉強会
28章~侵襲的循環モニタリングは敗血症に有効?~
主にPAC(Pulmonary Artery Catheter S-Gカテ)のお話
・菌血症は複雑な循環動態を呈し、それを理解・把握することは非常に困難である。
・PACは循環動態を把握するための有効な情報(SV, CO, RVEDV, EF, mixed SpO2)をベッドサイドで提供してくれる。
・ただPACはあくまで“モニター”であり、“治療”を示してくれるわけではない。適切にモニター情報を理解することが難しい。
・いくつかのデータではPACを使用することにより、30日死亡率が高くやICU滞在日数、在院日数が長いとされているが、重篤な複雑な病態をとる患者ほどPACは有効なのではないかとする意見もある
・PACを敗血症患者に限って使用したデータはない。Critical care領域では、PACを使用してもしなくても死亡率に有意差はないという報告がある。
・少なくともPACをcritical care領域でルーチンに使用する必要はないが、治療抵抗性の敗血症などには有効なtoolかもしれない。
29章~敗血症に対するempiricalな抗菌薬投与~
図表が多いので、各自でご参考ください。
・感染により状態が悪い患者では、可能な限り早く抗菌薬投与を行うことがよいと直感的に感じている
・実際、多くの感染は原因菌が判明し、感受性が判明する前に抗菌薬を投与される必要がある。
・抗菌薬を決定するにあたって①どのような患者であるか、②原因菌は何が考えられるか、③どのような作用の抗菌薬が必要か、を考える必要がある。
・肺炎患者で考えてみると、抗菌薬に抵抗性を示す患者のriskとして最近入院歴がある、介護施設入所中、長期間の透析、ICU入室歴などがある。
・抗菌薬を初回に投与する際には、原因菌を外さないように広範囲スペクトラムの抗菌薬を投与する。原因菌が判明したのちに、抗菌薬をスペクトラムの狭いものに変更し、治療を完遂することで、適切な抗菌薬の選択・投与が可能になる。
・感染症において良好なoutcomeを得るには、適切に初回抗菌薬を投与する必要がある。逆に初回抗菌薬が不適切であれば、院内死亡率は有意に高くなる(42% vs 17.7%)。不適切投与になってしまうrisk factorとして、以前の抗菌薬投与、カテーテル関連血流感染の存在(真菌に対するカバー不足)、APACHEⅡscore高値、低年齢がある。
CAP(community-acquired pneumonia)に対して…
・最初の抗菌薬投与を4時間以内に行うことで、死亡率が下がるという報告がある。
・同じように、外来で抗菌薬投与を行われていない患者では、ER到着後4時間以内に抗菌薬を投与することで、院内死亡率や入院後30日以内の死亡率が、抗菌薬投与で有意に減った。
・別の報告では病院到着後8時間以内に抗菌薬投与を行うことで、死亡率が下がるとしている。
・抗菌薬投与まで4時間をこえてしまう因子としては、意識障害、低酸素血症なし、発熱なし、高齢者であり、死亡率と関与しているのは、意識障害と発熱がないことである。
・感染一般にいうと、原因菌や感染部位は死亡率にあまり関係なく、抗菌薬投与の遅れが死亡率と関係があったとする報告もある。
VAPに対して…
・VAPで死亡率と関係があるのは、入院時APACHEⅡscore高値、悪性疾患あり、抗菌薬投与の遅れである。
Septic shock…
・Survival Sepsis Campaignにのっとって治療を行うが、およそ50%程度しか6時間以内に抗菌薬投与を行えていない
・低血圧であれば可能な限り早く抗菌薬投与を(SSCでは来院後1時間以内に投与することを推奨している).
(担当 水)
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