Evidence-Based Practice of Critical Care 22章〜23章
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神戸市立医療センター中央市民病院 集中治療部
on Jun 22, 2012
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通読勉強会
Chapter 22 Are Anti-Inflammatory Therapies in ARDS Effective ?
・ALIに対する抗炎症剤の効果の実験的エビデンスはないにもかかわらず、人間における治療的効果の明白なエビデンスの研究は行われていない。それは、結果に失望していることが原因かもしれない。
・仮説は間違っていた。炎症は肺損傷の原因ではなく、ただ「無邪気な傍観者」である。極論をいえば炎症の肺における役割は修復と再生であり、抗炎症剤はALIにおいて有害かもしれない。
・炎症の過程は複雑すぎて、一つの物質を用いて扱うことはできない。この観点からすると、一つの物質を単純に標的とした最終共通経路は存在しない。
・ARDSは症候群であり疾患ではない。ARDSの臨床的定義は研究の参加基準に有用であるが、特異的疾患の定義ではない。心筋梗塞と比較する事は有用である。病態生理学の過程(血栓的動脈閉塞)は、単純で信頼性の高い試験(心電図)により簡単に証明される。
・介入は不可逆性の病期に行われる。炎症は疾患の病状発現前の病期に起こる。 早期“ARDS”の研究でさえ、比較的遅い病期に治療が開始される。このシナリオにおいては、早期の良い指標を用いて無症候性の肺損傷を治療する必要がある。
・抗炎症剤の副作用は利益よりまさる。ほとんどの抗炎症剤は免疫抑制作用を有する。肺損傷の重症度を下げる利益は、感染や他の副作用に相殺されるかもしれない。多くの研究では治療群の過度な感染は報告されてないが、わずかな感染の増加は除外されていない。
・肺損傷の程度はARDSの予後を決める主たるものではない。多臓器障害はARDSに良くみられ、予後は主に他の臓器との関連により決まる。肺損傷を減らすことは、生存における効果としてはあまりないかもしれない。
・炎症反応はALIの治療対象としては魅力的に見えるかもしれない。しかし、発展してきた基礎科学実験に基づくより良い臨床的成果のためのアプローチを解釈すると、説明しがたいことが残っている。ARDSにおける抗炎症剤戦略は無益である可能性については、研究団体による思慮深い考察が必要である。
Chapter23 Is Extracorporeal Life Support for Adults with Acute Respiratory Distress Syndrome Useful?
・成人の重症呼吸不全において、体外循環は有用な救命戦略の準備を技術的に必要とする。
・対外循環を新生児や一部の成人に適用していくのを続けていくであろうが、我々は体外循環を使用すべき患者を適切に特定する能力を欠いている。
・臨床や研究における対外循環の詳細かつ再現可能な使用方法が書かれるまで、研究者は似たような研究を行うべきではない。
・広く使用されているが、新生児における対外循環の役割は限定的なままである。
・小児や成人のARDSにおける対外循環のルーチン使用の役割は明らかでないままである。
(担当 井上)
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