18 〜ARDSにおけるAPRVの役割とは?〜
・全体として考えると,ARDS重症患者の最も良いアウトカムを目指すために管理の詳細に目を向ける必要がある.
・人工呼吸は時には害となり,morbidity/mortalityに影響する.
・究極的には,臨床家は人工呼吸に依存しないよう患者をアシストなしの自発呼吸に戻すことに努める.一般的に人工呼吸からの離脱は早ければ速いほどよい.
・鎮静と筋弛緩薬を必要とする人工呼吸の戦略は,自発呼吸の回復を遅らせ,人工呼吸日数を増やし,結果として人工呼吸関連合併症を増やす.
・PSVやPCVと比較すると,APRVは肺内ガスの分布とガス交換が良い.
・APRVは心拍出量と酸素運搬を改善するため,結果として腸管循環や臓器循環が良くなる
・APRVはICUにおける鎮静を減らし,ICU滞在日数と在院日数を減らすかもしれない.
・執筆時点までにAPRVと他のモードを比較した二重盲検RCTはなく,APRVが中・長期的にM&Mの観点からアウトカムを改善するかどうかは不明である.
・APRVを用いた人工呼吸戦略は,ARDS患者の人工呼吸管理の最良の方法として何ら矛盾しない.
19 〜ARDSの管理における肺胞リクルートメント手技の役割とは?〜
・肺胞のリクルートメント手技の定義は,虚脱した肺に空気を入れるために普段人工呼吸器で用いる以上の高い圧を用いて肺をふくらます手技,である.
・臨床的には,肺胞リクルートメント手技は持続的高圧,間欠的高圧,大きな1回換気量(たとえばsigh)やその組み合わせとして施行される.
・リクルートメント手技の目標はALIの肺をより均一な構造にすることで,それによりVILIの危険性を減らす.
・リクルートメント手技は低血圧や圧損傷と関連があるかもしれない.
・多くのリクルートメント手技の臨床試験では,ガス交換や呼吸メカニクスといった生理学的エンドポイントの一時的な改善(<4 hrs)をもたらすと報告している.
・臨床的に適切だと思えるアウトカム(死亡率や人工呼吸期間)に対する効果が示されておらず,現時点ではリクルートメント手技のルーチンの使用は議論のあるところで推奨されない.
(担当 瀬尾)
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