Evidence-Based Practice of Critical Care 6章~7章


6. ~肺塞栓症をどうやって診断して治療すべきか?~
VTEvenous thromboembolism)はICUにおいてよく見られる問題である.この疾患の極限の最終形態がPE (pulmonary embolism)である.
PEの原因で最も多いものは下肢DVTである.
PEの徴候と症状はどれも特異的でも鋭敏でもない.それ故PEは,急性の呼吸・循環不全を呈するすべてのICU患者で考えられるべき疾患である.
・診断戦略と初期管理は血行動態の安定に基づいて行う.血行動態が不安定な患者の主な治療ゴールは肺動脈への血流の回復である.低血圧は注意深い輸液と昇圧剤により積極的に治療する.
・肺血流スキャンやCT肺動脈造影はPEを診断するために最もよく使用されるモダリティである.
PEと診断がつく,もしくは臨床的にかなり疑わしい状況で出血の危険性が低ければ,抗凝固を全ての患者に速やかに行う必要がある.
ICU患者に対する血栓溶解療法は未だ議論のあるところである.

7. ~人工呼吸からのウィーニングに対する適切なアプローチは?~
・臨床評価を適切に行うために,鎮静剤減量と短時間作用型の調節しやすい鎮静剤の使用が重要である.人工呼吸管理中の重症患者において,ウィーニング可能かどうかの評価と鎮静剤の減量は早期から頻回になされるべきである.
・急性期の障害が改善されたら,すべての重症患者においてSBT施行に対する閾値を低く持つべきである.
SBTTピース,Tチューブ,PSV10cmH20, ATCを用いて少なくとも30分間施行する.
・現在のデータではPSVが最も簡潔で最も効果がある方法である.
・患者が自分で気道が確保できるなら抜管しろ!!もしそうでなければ人工エアウェイを早期に使用して人工呼吸からの離脱を考えろ!!
SBTに失敗した場合,(1)離脱失敗のすべての原因を考え対応しろ,(2)24時間以内にSBTは繰り返すな,(3)患者を疲れさせない換気モード(PSVが最も一般的)でサポートしろ,(4)もし適切ならNIVを考慮しろ, (5)気切を考えろ
・ウィーニングプロトコールはICUにおいて注意しながらなら使用してもよい.しかし専門家の臨床意見の代替になるものではない.

(担当 瀬尾)

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