44章.~ICUにおける急性心筋虚血をどのように診断して管理するか~
・ICU患者ではトロポニン上昇はよく見られる.常に心筋虚血や心筋梗塞と関連があるわけではないが,この上昇は予後と関連がある.
・ECGと画像検査がさらに病態生理を明らかにし,診断の手助けとなる.
・心筋虚血・梗塞の薬物治療はβブロッカーとスタチン,アスピリンである.
・急性期の冠動脈血行再建は時に行われるが,多くのICU患者では併存疾患や禁忌,不安定さのため,緊急のCABGはPCIはたいてい困難である.
45章.~ICUにおける心原性ショックをどのように診断して管理するか~
心原性ショックは出来るだけ早い診断と適切な治療が必要であり,これらは死亡率と関係があるICU患者は大抵MOFと呈しており,心原性ショックと他のショックを鑑別するのが困難である.心原性ショックと診断するが妥当であると判断された患者においては,以下を推奨する:
・酸素療法を最大限にし,ただちにECGを施行,侵襲的モニタリング(少なくとも動脈ラインとCVライン)を開始し,心筋酵素を含む検査による評価をおこなう.
・緊急ECGは診断のみならず管理にも役に立つ.
・TTEが緊急で行えない場合,肺水腫の徴候がなければ500mlの晶質液の投与を推奨する.もし血圧もしくは右房圧の上昇が不十分であれば,繰り返し投与をする場合もある.
・血管内水分量が適切になってにもかかわらずまだ心原性ショックが継続している場合は,ドブタミンもしくはノルエピネフリンをfirst lineとして推奨する.これらをもちいて平均動脈圧を60 mmHg以上に保つ.平均動脈圧の改善がなければバソプレッシンも使用可能である.
・もし1時間以内に劇的な還流の改善がなければIABP挿入を考慮すべきである.
・ECGからは心筋虚血が疑わしい場合は,ただちに原因となっている冠動脈の同定を考え,早期の血行再建が考慮されるべきである.
・心原性ショックの治療は多科にまたがることを認識することが重要である.適切な治療を適切なタイミングで行うため,集中治療医と循環器内科医,心臓外科医によるコミュニケーションが必要である.ICUにおいてベッドサイドTTEが一般的になりつつある現在,集中治療医がタイムリーに,沢山の診断をおこなうようになるのは疑いようのないことである.
(担当 瀬尾)
Evidence-Based Practice of Critical Care 44〜45章
Posted by
神戸市立医療センター中央市民病院 集中治療部
on Oct 1, 2012
Labels:
通読勉強会
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